2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「恋の罪」 園子温

言葉には距離がある。言葉をただその言葉として知っているだけでは「意味」がない。経験によって、言葉とのその距離を縮めてゆき、その距離がゼロになるとき、(大学助教授の美津子(冨樫真)が語るように)言葉は「肉体」を持つ。ある本を読んで、そのとき…

2011年ベスト

映画部門(ベスト10) 1.「ヒア アフター」 クリント・イーストウッド 1.「東京公園」 青山真治 1.「NINIFUNI」 真利子哲也 1.「5windows」 瀬田なつき 1.「サウダーヂ」 富田克也 6.「ザ・ウォード」 ジョン・カーペンター 6.「ゴーストライター」 ロマン…

暗黒街の図書館

夜7時くらいだろうか。昨日、人通りの少ない真暗な坂を抜けて、既に閉館している図書館の前を通ると、入口の自動ドアに「ファーブル昆虫記」が立てかけられていた。 「きっとブックポストを知らない小学校1,2年生の、勉強熱心なぼうやが置いていったんだ…

サウダーヂ・オールナイト

23日(金)にオーディトリウム渋谷で、空族の「サウダーヂ」、「国道20号線」、そしてエドワード・ヤンの「恐怖分子」の3本立てサウダーヂ・オールナイトが開催される。エドワード・ヤンの「恐怖分子」は、渋谷のツタヤに行けばヴィデオテープがあるけ…

冬といえば

僕が小学校5年生の冬だったろうか。帰宅すると、兄さんの友人たちが家に遊びに来ていて、ストーブで十分に温められた畳の部屋で、プレイステーションの「メタルギアソリッド」をやっていた。それまで「スーパー・ドンキーコング」と「クラッシュ・バンディ…

クリス

例えばの話だが、「ハンター×ハンター」では、蟻編で、旅団のボノレノフが蟻と闘うときに「ギュドンドンド族」の説明に入るところ。「バキ」にも色々あるが、例えば、「現場にいた会社員の○○は後にこう語っている・・・」と、第三者の供述に入っていくところ…

「アメリカの友人」 ヴィム・ヴェンダース

誰もがみな、カセットテープに録音した自分の声を聴いて、そのあまりの気持ちの悪さに仰天したことがあるだろう。そして「これは僕の声じゃない」と主張する。が、周りの人間は「いや、お前の声だ」と言う。卒業アルバムに写る自分の肖像を見て、愕然とした…

キェシロフスキ

クシシュトフ・キェシロフスキは最も好きな映画監督の一人だ。 「殺人に関する短いフィルム」「愛に関する短いフィルム」「ふたりのベロニカ」「デカローグ」・・・・どれも大好きだ。僕の名である「屋築」も、「殺人に関する短いフィルム」の主人公「ヤチェ…

「クリムゾン・キモノ」 サミュエル・フラー

ドゥルーズ「シネマ1」の第12章では、ヌーヴェルヴァーグの「パロディ」について語られている。「パロディ」一般についての考察にもなっているので、僕らがももいろクローバーについて考える際にも、この章は重要なヒントを与えてくれる。 新しいイメージ…

巨人の星

大澤真幸の「虚構の時代の果て」(ちくま新書)、「不可能性の時代」(岩波新書)を大分前に読んで、この2冊は「距離」について大きなヒントを与えてくれ、僕にとってはすごくためになった。 その大澤真幸著の「美はなぜ乱調にあるのか」(青土社)のスポー…

「けいおん!」 山田尚子

「けいおん!!」2期の20話。文化祭での最高のライブを終えた後、夕暮れの部室の隅で、放課後ティータイムの皆が座りこんで会話をするシーン。「最高のライブだったね」。彼女たちは、今日のように、これからも続くであろう素晴らしい時間について、楽し…

「監督失格」 平野勝之

昨日、東京造形大学でのペドロ・コスタによる特別講義でペドロは、「大人になること」について「大人になるとは、「こんにちは」、「さようなら」が言えるようになることだ」と語っていた。そしてペドロは、フリッツ・ラングの「ムーン・フリート」を引用し…