ユーロスペースで清原惟『すべての夜を思いだす』。
初夏の多摩地区の空気感が本当に素晴らしい。
彷徨った先に訪れた家には、もう誰も住んでいない。亡くなった友人が撮った写真は、写真屋の保管期限を終え、何が映っていたか知ることは出来ない。
たとえば『ひとつのバガテル』で、お婆さんをはじめとする、他者性の強い他者たちが醸成していた不穏さ、異邦感がここにもある。
この映画はしかしまだ終わらず、その先の道筋、救いのようなものとして、この土地の、知らない誰かのホームビデオ(を見聞きすること、想像を馳せること)が示される。