山崎貴『寄生獣』

夜、ブルク13で山崎貴寄生獣』見る。
原作そのままやれば自然にそうなるだろうから監督にそういった意識があったかどうか分からないが、これはかなり(現代)映画的に色々やりたくなる脚本だと思う。ドライヤー、ブレッソン、ストローブ、コスタ・・・。つまりは演劇性の導入。これはそれを極めてナチュラルにやれる原作・脚本であって、とにかくもっと遊び尽くせるのではと喉から手が出るほど私も撮ってみたいと考えていた。深津絵里が「警官A」「島田」を紹介するシーンは最も刺激的な場面のひとつだろう。演劇性の導入によって人物たちの固有名が溶解し、匿名的な存在になる。だから橋本愛の「「イズミシンイチ」君だよね?」というセリフはいい。
深津絵里が歩きセリフを言うたびにいわゆる「純粋に音声的で光学的状況」に接近する。クロースアップで捉えられた深津絵里のそばかすがざわめく。 監督がどこまで意識的にやっているかまったく分からないが、深津絵里たちがまさにあの建物(アジト)で各々別々の方向を向きながら会話するシーンは良かった。
しかしもっと色んな可能性が頭をよぎる。会話の間、イマジナリーラインの破壊、カメラ目線・・・(國村隼が一度カメラ目線をしたような気が・・・)。クローネンバーグやカーペンターが撮れば面白いという意見があるが、ペドロ・コスタとまでは言わないが、かつて『変態家族 兄貴の嫁さん』を撮った周防正行などが撮ったらまた面白いと思う。
染谷君、橋本愛も良かったが、東出君の天才的な笑顔はほんとうに素晴らしいし最高だ。まるで小津の登場人物(佐田啓二・・・)のようである。染谷君と握手するシーンは爆笑した。『クローズ EXPLODE』も良かったし、今年の最優秀男優賞は東出君か柳楽君できまりだ。ちなみに女優賞候補は、本田翼、メアリージュン、小松菜奈・・・