黒沢清『岸辺の旅』

昼、新宿、中川君に会う。
割烹「中嶋」で鰯のフライ定食食う。
テアトル新宿黒沢清『岸辺の旅』。深津絵里の美しさ、とはそのバランスの美しさである。重さを引きずる映画というのがあって、たとえば『東京暮色』や『乱れ雲』や他にも山ほどあるが、その重力に耐えきれずダメになることもしばしばある。男たちはその重力に耐えきれず、落ち(落とし?)転倒し大地に伏す。映画においてはいかなるものも重力に逆らうことはできない。深津絵里の美しさとは、重力に耐えきれず大地に伏すものたちのなかにありながら、背筋を伸ばしてスタスタと歩くその姿勢の美しさである。「3年待った」と言う深津絵里。「1人でもやってこれたじゃないか」と浅野忠信。それに対して深津絵里は初めて激しく怒りを露にする。バランスを保つことがいかに難しかったか。
もう一度見たい。深津絵里のバランスと倒れこむこと(メロドラマ)をもう一度確認せずにはいられない。
夜、相模大野で爆音フィッシュマンズ『男達の別れ』。最高である。ロングシーズンのとき、腰を振りながらヴァイオリンを弾いていたメトロポリスのような女性が最高だったが、彼女もまた亡くなったという。
「鈴木ラーメン店」でラーメン食う。