6月25日 ジャコメッティ展

昼、六本木、国立新美術館ジャコメッティ展。
全裸の異性と直立して向かい合ったことが数度、ある。
この瞬間。この向かい合った瞬間こそが素晴らしい。というのも、乳房の垂れ下がり具合であったり、繁みや腹、特に下腹部の起伏などが、自らの腹やペニス、胸板と同じくらいに、ただひたすらに凡庸であり、凡庸であるという点で似すぎているという事実に驚き、感動するほかないからだ。
幼少の頃、思いもかけず従姉妹の性器を目撃してしまったときに強烈に驚き、子供ながらに狼狽するほかなかったのは、それが自分と「違う」からではなく、「違う」はずだが、それ以上にあまりに「ふつう」で「似ている」からではなかったか。
そこにはどんな過剰さや欠如もなく、ただそこに「ある」。あるものはある。乳房があり、腹がある。ブロンズがある。ものがただ「ある」。
それは、この瞬間に至るまであらゆる方法で思いをめぐらし、思い描いてきた、いかなる過剰さや欠如にも増して美しい。そして、この瞬間、互いに、同じ凡庸な身体に出会うことができたこの瞬間において、かけがえのなさが生まれる。