9月1日 園子温『TOKYO TRIBE』

ブルク13でふたたび『TOKYO TRIBE』。
園子温の映画は何度でも繰り返し見る類の映画ではない。そういう瞬間がまったくないわけではないが(冒頭からの数分間はやっぱり至福である。クレーン撮影による長回し、雨、パトカーの到着、佐々木心音の揉みしだかれる乳、トライブの紹介・・・)、おおよそ、ショットの持続と切断のようなものをじっくり味わうような映画ではない。
しかしながらそういった切り口から批判しようとしても、そのような言葉であれ他のあらゆる言葉であれ一切が空虚に響くような圧倒的力技を、園子温はとうとう持っているのでは と昨日見ているとき思った。いわば圧倒的にトリップさせられる。ただただ面白い、と語りたくなるような饒舌によって他に四の五の言わせない。
翌日に2度目を見て言うのもあまりになんだが、しかしやはり何度でも繰り返し見る類の映画ではない。繰り返し見るべき部分があるならそれは、新人美少女の「奪還」をめぐる活劇だろう。吉高由里子満島ひかり、そして 清野菜名。『TOKYO TRIBE』の核となるのもやはりスンミ(清野菜名)の「奪還」をめぐる活劇であって、そこに関しては何度見てもいい、これはスンミとヨンの物語だ。
・スンミがいちばん最初に登場するとき彼女は穏やかに眠っている!
・拉致される車内でのスンミとヨンの顔の切り返し!
・ヨンはとにかく何でも奪い、走る。
・ヨンが「奪還」を行う際、始まりの合図としてバナナなりリンゴなりかじる(「天才てれびくん」を見ていたときのような懐かしいざわつきを感じる)
・「奪還」終了の合図に、ヨンはポーズを決める
・スンミは最初白いドレスを着ており、それを脱ぎ、乳房を露にされ、赤いドレスに着替える
・ドレスはいずれも蹴りを入れるとき白いパンツを露わにするためのものである
等々、スンミとヨンの「奪還」をめぐる活劇はいちばんいい。