9月25日 谷中霊園

昨日アピチャッポンの個展に行くとき谷中霊園を通った。
日暮里で降りる。日暮里で降りるのは初めてかもしれない。河合君と自転車で山手線を一周したとき通ったはずだが覚えていない。手前の鶯谷は何度か降りたことがある。ここらへんの数駅は、歴史あるが、なにやら卑猥で官能的、というよりスケベな雰囲気が漂っていて、駅に降りると頭の中で歌がワンフレーズ鳴る。鶯谷は山手線で一番好きな駅かも知れない。
そして日暮里で降りる。南口から左に行って階段を上るとすぐに谷中霊園がある。閑散としていていい。広いイチョウ並木がある。イチョウ並木はドラマか映画でしか見たことがないかも知れない。一番思い出すのは『冬のソナタ』のイチョウ並木だ。チョン・ユミ、ではなくてペ・ドゥナ、ではなくてハン・ヨルム、じゃなくてチェ・ジウはどうしているだろうか。パク・ヨンハは自殺した。谷中霊園に眠る有名人を携帯で調べる。体操着を着た上野の中学生の生徒が竹箒で並木道を掃除している。男子の塊と女子の塊が100メートルほど離れている。気さくな若い女の先生が男子中学生に向かって「女子の方へ向かって掃け」と言う。霊園の墓はひとつひとつ敷地が広く門構えなどもしっかりしている。男の墓の前でしゃがんで参る不倫相手の女性と奥の方の路地から曲がってきて姿を現す妻と幼い子ども、というシーンを何度も見たことがある気がする。ドラマや再現VTRのシーンの多くはこの谷中霊園で撮影されているのではないか、と思う。