幻の映像

昼間のファミレスに真赤な服を着たオバケが出て来る映像を、小学生か中学生のときにテレビで見た記憶があった。あれは本当に怖くてずっと気になっていたが、作品については題名も何も覚えていなかったので、僕の中で幻になっていた。
先日、黒沢清の「降霊」というヴィデオを近所のレンタルヴィデオショップ「ポパイ」で借りたのだが、まさにそれがその幻の映像だった。当時は「黒沢清」という固有名詞はもちろん知らなかったので、僕の記憶に鮮烈なイメージを刻みつけたことを考えると、やはりさすがだなと思った。

僕には幻の映像があと2つほどある。

1つ目が「ゲゲゲの鬼太郎バックベアード編」。
小学生のある時期、アニメの「ゲゲゲの鬼太郎」を毎週見ていたのだ。その中で「バッグべアード編」は今でもはっきりと覚えている。西洋の妖怪「バックベアード」と日本の妖怪「ぬらりひょん」が手を組み、日本を支配しようとする。鬼太郎たちは、かつて戦った敵たちと力を合わせ、それを阻止するという話。もう一度見たくて仕様がないのだが、wikipediaによれば僕が「バックベアード編」と呼ぶものはどうやら「バックベアード編」ではないらしい。それが何編なのか分からないのだ。だから幻の映像になってしまっている。
昨日、渋谷ブックオフ3階、ヴィデオテープのコーナーの下の引き出しを開けたら「ゲゲゲの鬼太郎妖怪大戦争」というヴィデオテープが出て来た。僕は「もしや」と思い、パッケージの裏を見た。「世界中の妖怪たちが、日本に集結する!!」・・・「これは本当にもしかすると!」と思ったが、そこにバックベアードの、あの巨大な目はなかった。

もう1つは「グースバンプス」。
NHK教育でやっていた海外ドラマ「フルハウス」とか「サブリナ」が、僕は大好きだった。ミシェルと共に育ったと言っても過言ではないくらい「フルハウス」が好きだったし、家庭内で一時期「サブリナ」というあだ名をつけられるほど「サブリナ」がお気に入りだった。
「グースバンプス」もその時間帯にやっていた海外のホラードラマだ。ものごころついた頃から、古今東西のあらゆるホラーを、親の目を盗みつつ見ていた僕にとって「世にも奇妙な物語」とか「本当にあった怖い話」は冗談みたいなものだった。が、「グースバンプス」は本当に怖かった。特に「案山子」の話は今でも夢に見るくらい、僕に鮮烈なイメージを刻み、本当に怖かった。もう一度見たいのだが、もちろんレンタルしていないし、Youtubeで検索しても、オープニングテーマを聞くことくらいしかできない。残念だ。