新宿『達磨』で炒飯、坦々麺。
昼食後、ウインズへ。
動物性の古紙の臭いがする。少し酸っぱい。一言でいうとゾンビの臭いである。
「・・・この臭いをどこかで」、というか定期的に嗅ぐことがある。
遭遇頻度はちょうどキンモクセイと同じくらいで、臭いの一つのジャンルとしてある。
例えばどこだったか。記憶をたどると、一つは野毛山の横浜中央図書館であった。
横浜中央図書館も確か裏にウインズがあった。
マークシートの記入台と『ラルジャン』のATMのような払戻機以外、椅子ひとつなく、皆黙っている。
自動販売機は「使用禁止」の貼り紙が貼られ、モニターにはレース映像も流れていない。
試験官のような事務員が立ち並び、建築の一部となっている。受付カウンターには3人の女の子が詰まっている。
エスカレーターで3階、4階、5階と上がるが、同じ風景がただ続く。
アミューズメント施設というより、免許センター、病院、刑務所・・・。都会の片隅にある公衆便所に残された、匿名的な便。
無機質で禁欲的な箱。この場所は一体何だろうか。
この場所では、馬は馬であり、金銭は金銭である。
この場所で、欲望や思考、感情、思い出はどこへ行くのだろうか。
トリュフォーがチャップリンについて書いた文章の書き出しを思い出す。
「チャップリンは2種類の人間だけ撮った。「偉人」と「乞食」。前者は「私は何者なのか」と問い、
後者は「私は存在するのか」と問う」というもの。
夜、ピカデリーでトリアー『ダンサー・イン・ザ・ダーク』見る。
ウインズの臭いが髪や服にこびりついて、取れない。焼肉屋じゃないんだから。