12月11日 ウインズ

新宿『達磨』で炒飯、坦々麺。

昼食後、ウインズへ。

動物性の古紙の臭いがする。少し酸っぱい。一言でいうとゾンビの臭いである。

「・・・この臭いをどこかで」、というか定期的に嗅ぐことがある。

遭遇頻度はちょうどキンモクセイと同じくらいで、臭いの一つのジャンルとしてある。

例えばどこだったか。記憶をたどると、一つは野毛山の横浜中央図書館であった。

横浜中央図書館も確か裏にウインズがあった。

 

マークシートの記入台と『ラルジャン』のATMのような払戻機以外、椅子ひとつなく、皆黙っている。

自動販売機は「使用禁止」の貼り紙が貼られ、モニターにはレース映像も流れていない。

試験官のような事務員が立ち並び、建築の一部となっている。受付カウンターには3人の女の子が詰まっている。

エスカレーターで3階、4階、5階と上がるが、同じ風景がただ続く。

アミューズメント施設というより、免許センター、病院、刑務所・・・。都会の片隅にある公衆便所に残された、匿名的な便。

無機質で禁欲的な箱。この場所は一体何だろうか。

この場所では、馬は馬であり、金銭は金銭である。

この場所で、欲望や思考、感情、思い出はどこへ行くのだろうか。

 

トリュフォーチャップリンについて書いた文章の書き出しを思い出す。

チャップリンは2種類の人間だけ撮った。「偉人」と「乞食」。前者は「私は何者なのか」と問い、

後者は「私は存在するのか」と問う」というもの。

 

夜、ピカデリーでトリアー『ダンサー・イン・ザ・ダーク』見る。

ウインズの臭いが髪や服にこびりついて、取れない。焼肉屋じゃないんだから。