鎌倉旅行

横浜から北鎌倉まで横須賀線で一本、290円で行けることは知っていて、2年前からずっと行こう行こうと思っていた。
怠慢からずっと行かなかったのだが、今日やっと行けた。

「無」という一文字が刻まれた、「東京画」でヴェンダースも訪れていた小津安二郎の墓。
北鎌倉駅すぐそばにある円覚寺の境内右手を少し登ったところにあった。マッコリやウイスキー、ビールなど備えられていて、お参りをしていたカップルが「お酒すきだったからねぇ」と言っていた。僕もお参りした。

鎌倉にも一度行っておいた方がいい。特に共通の話題もない方々との会話の際、「鎌倉」はきっと便利な話題になるはずだ。

そう思って、鎌倉駅から鶴岡八幡宮まで続く、観光客がわんさかいる長い商店街を歩く。みたらし団子やおもち、ジャンボフランクのうまそうな匂いがする。ぬれ煎餅がある。しらす丼もある。日本中、世界中から「いざ鎌倉」と集結しはりきる観光客。ハローキティやケロッピーが付いたおみやげのキーホルダーや携帯ストラップ。「イタリア旅行」のイングリッド・バーグマンのように、冷たい視線で見つめながら歩く。
鶴岡八幡宮の境内を少し逸れたところにある神奈川県立近代美術館で「シャルロット・ペリアンと日本」展というものが開催されていた。「シャルロット・ペリアン」という人はもちろん知らなかったけれど、見た。六本木ヒルズで見た「メタボリズムの未来都市展」と微妙に共通していたのでためになった。
美術館外にある濁った池に、僕が今まで見た全てのカメの中で一番大きなカメがいて、これには度肝を抜かれ、思わずボロボロ泣いた。恐らくそのカメはカミツキガメで、体長が軽く80センチはあった。「これに噛みつかれたらひとたまりもないぞ」と思いながら、震える手でカメラのシャッターを押した。

「鎌倉」について話せそうなことは、いまのところカミツキガメだけだ。