1月27日 お前の人生を生きろ

 ここ数日、睡眠とらずずっと言葉と図に向かっていた。あるときから言葉がドラッグのように効き始め、カラスがカアカア鳴いたり車がすれ違ったりすること、あらゆることが可笑しく笑いをこらえることが出来なくなり、世界が生の喜びに満ちあふれた。笑みがこぼれるのを抑えることができなくなった。その後、複数の声が聞こえ始め、倦怠が訪れた。
 むかし、私の住む地域に、自転車に乗ってずっと笑っている有名なおばあさんがいた。ある冬、家族で車に乗って牛岳スキー場に出かけるとき、車がおばあさんの自転車とすれ違った。車窓からおばあさんを見ると、彼女は例のごとく笑っていたので、私は笑った。すると父親は怒り、「おばあさんは笑いたくて笑っているのではない」、だから「罰としてお前の人生を生きろ」と私に言った。
 牛岳でスキーをして、すっかり暗くなって帰ろうかと30メートルほど車を走らせると、スキー場で飼われているゴールデンレトリバーが走って車を追いかけてきていた。1kmほど走ってやっとゴールデンレトリバーがついてこなくなった。しかし、その10分後くらいにふたたび後ろを振り返るとゴールデンレトリバーがまた車を追いかけて付いてきていたので家族全員で笑った。車の中はあたたかかった。私は笑いながら、あのおばあさんとゴールデンレトリバーはなにか因果でつながっている、と子供の直感で思った。
 夜、高田馬場すき家でチーズ牛丼食う。
早稲田松竹イエジー・スコリモフスキ『バリエラ』見る。紀伊国屋レーベルのDVDのチラシによく載っているのを見て、ずっと見たかったが、ほとんど爆睡してしまった。『出発』も見ずに帰った。
ツタヤで乃木坂『透明な色』借りる。