1月20日

小学校の社会科見学で浄水場に行ったとき、たしか凄い楽しかった。帰りに記念に500mlのペットボトルの水をもらい、大事に持っ帰り、家に着いてソファで少し仮眠して目を覚ますと、もらった大切な水を犬にやられていた。私は怒り狂い「ふざけるな!」と犬や家の皆を罵倒した。階段をかけ上がって自分の部屋にこもり、電気を消して静かに泣いて世界に絶望した。母親がスーパーで代わりにペットボトルのエビアンを買ってきたが・・・
『MUDーマッドー』。大人と(あるいはバケモノと)少年の交流、そして(相互)成長。ビルドゥングスロマンの醍醐味は、世界に裏切られた子どもが、静かに涙を流しながら沈み床に就く夜。『パーフェクト・ワールド』『センチメンタル・アドベンチャー』『E.T』『グレムリン』『ムーンフリート』・・・ そしてその夜、狩人の夜、救世主が再び迎えにやって来て・・・
ペットボトルの水で私はいったい具体的に何と繋がっていたのか思い出せないが、『MUDーマッドー』の修理されるボートは、少年とマッドを、少年と世界を繋ぐ秘密の、極めて個人的という点で無意味な、愛の・・・ボート。
少年が沈む夜、救世主の到来を期待させる河のショットが映し出され・・・「最高だな」と思った。欲を言えば修理したボートでやって来て欲しかった。