ももいろクローバー(Z)についての手紙

 ああ・・・みなさん・・・ みなさんとルームシェアしたい・・・ みなさん本当に・・・
みなさんから本当にいろいろ学んでいます。みなさんを知って僕は生き方を変えた。

 「ココ☆ナツ」をみました(http://www.youtube.com/watch?v=oW9j9uAY9bQ)。今はだいぶ慣れてしまったけれど、本当に最初見たときは驚きました。サビの部分はひたすら「コココ・・・」が続くし、みなさんは気狂いみたいに踊り続ける。ズレがある。このズレは既存のアイドルに対する批評ですね。そしてみなさんのこの「コココ・・・」の踊りは、それをファンに一緒にやるように誘っているようで、当然ファンは一緒にやるわけです。でも本当に一緒にやっても良いのか。この気狂いみたいな踊りは、一緒に踊って純粋に楽しんでもいいのか。みなさんは「これができるか?」と言っているように見えました。ひょっとすると、これはアイドルと一緒になって盛りあがる、何でも盛り上がればそれは良い、という既存のファンのスタイルに対する批評でもあるのではないか、と最初思いましたが、何度も見るうちに分からなくなってしまいました。

 みなさんのやっていることは批評ですね。既存のイメージのスタイルを徹底的に全力で追求すること(広い意味での「パロディ」)で、そのスタイルの陳腐さを我々に気付かせてくれ、新しいイメージを確立する。まさに革命ではないですか。実際みなさんを知ってから、僕の中でAKB48は10年も古びてしまった。みなさんを見てからAKB48が止まって見える。
 「行くぜ!怪盗少女」(http://www.youtube.com/watch?v=TxH0yOn1Jz8)とか「ミライボウル」(http://www.youtube.com/watch?v=U-v3jC0LDRw)、「ピンキージョーンズ」(http://www.youtube.com/watch?v=jcqPX40Mszo)のみなさんの全力については、ここで僕が言及するまでもないと思います。「Chai Maxx」(http://www.youtube.com/watch?v=GFEP27lmPNE)も良いですよね。みなさんの色んな意味でのパロディは、とにかく既存のイメージに毒された我々を解放してくれます。そういったスタイルをとる皆さんを、僕はほんとうに信じています。
 「ミライボウル」のラスト20秒をご覧なさい。高城れにさん(紫)の奇妙な踊りを中心にして創り出されるあの自由な空間!本当にうっとりとしてしまいます。まるでジャン・ルノワールの映画ではないですか!「走れ!」(http://www.youtube.com/watch?v=9Rt5cSeFHNY)にはパロディがなく、純粋なスタイルで勝負しているかもしれません。しかし皆さんはほんとうに信じられるから、感動できるのです。それにこのときの(そして「ココ☆ナツ」のときの)百田夏菜子さん(赤)の表情をご覧なさい。何ですかこの浅野温子のような表情は!楽しんでいるフリをしているのではなくて、本当にこの限界に近い状況にゾクゾクしながら楽しんでいますね。どうしてこの歳でこんな表情ができるのでしょうか。

 全力で何かを行うことは魅力的だという、かつて僕も信じていたことを、みなさんは思い出させてくれました。みなさんの全力がなぜ魅力的かと言うと、スタイルが良いからですね。スタイルが良くないものを全力でやっていても、残念だけれど、それは冗談にしかみえない。何でも全力でやれば良いってものでは無いのかもしれない。
 
 以前みなさんは、ヤマダ電機だったかジョーシンだったか忘れましたが、全国の電機屋さんを巡って全国ツアーをやっていたそうですね。そこでのあるエピソードを聞きましたよ。一日に3回ライブがあるから、2回目、3回目を見越して、1回目は少し手を抜いてやっていた。するとマネージャーさんからお叱りを受けた。そしたらみなさんは2回目、3回目で、リミッターを外して踊ってきた、と。素晴らしいと思いました。
 
 
 今日、イメージはどれだけでも複製することができる。だから、今ここを逃しても、複製されたものを明日でも明後日でも、1年後でも体験できると高をくくっている。でも本当は明日なんて無いかもしれない。一回きりだけかもしれない。複製されて、あふれるイメージは、それを隠す。イメージは「死」を隠す。
 みなさんには「死」が見えていますね。だからみなさんは今ここを全力で生きているんですね。本当に感動します。
 僕もみなさんの生き方をマネするようになりました。(すると勝俣さんや片桐はいりに逢えました。)みなさんには本当に感謝しています。      

                                                     屋築 真悟