3月16日 さようなら野毛山

午後、引越し。
横浜には5年住んだ。野毛山はすごくいい所だったが、唯一駄目だった点はアパートが谷底に位置していたことだ。鶯谷しかり渋谷しかり、谷は斜面からいろいろ滑り降りてきて底に溜まるので、人間の住む場所に適さない。実際、この谷底のアパートの前ではしょっちゅう言い争う声や奇声が聞こえてきたし、自身も生がすり減らされる感があったように思われなくもない。もしこれから引越しをしようと考えている方がおられるならば、谷底だけはやめたほうがいい。
ツーマンセルの引越し屋さんは、だいたい片方が『ランボー』のシルベスター・スタローンというか『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスというか、愚鈍でほぼ喋らない木偶の坊の人である。そしてもう片方は、彼を飼い馴らしているレザーフェイスの父さんのような一見普通の人に見える人である。以前、町田から横浜への引越でも、ガスコンロのホースを取り外せるか片方のレザーフェイスの人に聞くと「あい」と言って元栓も閉めずに強引に力ずくで取り外そうとし、もう片方の人が「馬鹿野郎!」と言って彼を止め、こちらに頭を下げながら「すいやせん」と言ったりしていた。